モノノミカタ ~CNCを使った木工作品についての説明書きなど

自然と人をつなぐモノづくり。創作する上で知ったこと、考えたこと。

“木象嵌”で市松模様を表現するアイテムの製作

CNC工作機で特筆すべき点はコンマ1mmの精度で、金属や木材を切削できること。今回は超シンプルな “木象嵌(もくぞうがん)”で市松模様を表現します。

 

市松模様とは、「格子模様の一種で、二色の正方形(または長方形)を交互に配した模様。 英語、またこれを借りた外来語のチェック(チェッカー)に相当する。 」(引用:市松模様-Wikipedia )だそうです。

 

 ではそもそも「市松」ってなんでしょう?

この模様は昔から装飾や建築、図案に用いられてきましたが、江戸時代以前は「石畳模様」と呼ばれていたそうです。

しかし江戸時代の中期、江戸中村座の「高野心中」で歌舞伎役者の佐野川市松が 粂之介(くめのすけ)に扮した衣装の石畳模様が「市松模様」の名で流行したとのことです。

確かに「佐野川市松」でググると格子模様を襟や袖に配した「市松の衣装」の絵が出てきます。

 

 私が市松模様ですぐに思い浮かべるのは銀閣寺をはじめとする京都の寺社の庭。

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苔と石畳による格子模様(上写真)は苔のやわらかなこんもりとした盛上りと石の平板が対照的で素晴らしいです。

 

今回はこの立体的な意匠へのリスペクトを込めて和モノの「イチマツのチャーム」を作ってみました。

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材料も国内産のマカバとカエデ。あえて格子に段差を設け、さらに木目も直交させて触れても「市松模様」が感じられます。マカバは北海道では“広葉樹の女王”と呼ばれる木材。木目や性質がサクラに似ていることからサクラの名で流通しています。

カエデは“イタヤカエデ”。この材は乳白色で美しい。

 

もう一つのアイテム「チェスのキーホルダー」はチェスの盤をモチーフにしています。

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材はウォルナットとメープル。ウォルナットは時間が経つと色味が濃くなり、キラキラしたメープルとの対比が鮮やかになります。